「秋田銀線細工」とは、秋田県指定の伝統的工芸品であり、
秋田市指定無形文化財にも指定されている金属工芸の伝統技法です。
線径0.2~0.3mmの純銀線2本をより合わせた「より線」で、唐草や渦巻き状のパーツを作り、銀枠にはめ込み、ロウ付けをして造形しています。
日本に銀線細工技法が伝わった経路には諸説ありますが、
1550 年にポルトガル船が平戸(長崎県平戸市)に初入港し、15年間、貿易を行っていた期間に技法が伝えられたと言われています。
当時の江戸では、産地である平戸に由来して「平戸細工」と呼ばれていました。
江戸から秋田への伝来経路も諸説ありますが、出羽久保田藩(秋田藩)藩主・佐竹家と深い関わりがあるとされています。
秋田は阿仁、院内などの鉱山が栄えており、歴代藩主の管理のもと、細工物の製作が盛んに行われていました。
秋田では、昭和初期の頃から「銀線細工」と呼ばれるようになりましたが、
今でも、渦巻き状のパーツのことを「ヒラト」と呼んでいます。
名称と同じく、作られているアイテムにも時代の流れに伴い移り変わりがありました。
江戸時代から明治・大正時代にかけては、緒締※1 、根付※2 、花嫁かんざし、
昭和に入ってからはブローチや宝石箱などが作られてきました。
現在でも宝飾品がメインに作られており、花や唐草をモチーフにしたネックレス、ピアス、リング、ブローチなどが人気です。
※1 緒締…印籠などの紐を締めるもの。石、金属、珊瑚、象牙など様々な素材で作られている。
※2 根付…印籠などを紐で帯から吊るし持ち歩くときに用いた留め具。
金属線で装飾品を作る彫金技術は世界中で受け継がれており、
英語圏では「Filigree(フィリグリー)」(またはフィリグラン)、ヨーロッパでは「Filigrana(フィリグラーナ)」、トルコでは「Telkâri(テルキャーリ)」と呼ばれています。
ロシアの「Финифть(フィニフティ)」(伝統的な七宝焼き)は、周囲を囲うように銀の線状細工が施されているものが多いです。
金属線の素材も地域により特色があり、イエローゴールド、ホワイトゴールド、シルバー、銅など様々です。
国外の銀線細工はSV925(純度92.5%の銀)を使用している事が多く、
SV1000(純度99.9%以上の純銀)を使用しているという点は、秋田銀線細工の特徴です。
金は銀と同じく加工しやすいため、金線を使用し「金線細工」が作られたり、金線と銀線を組み合わせて一つの作品が作られることもあります。
線の細さは、一般的なアクセサリーには 線径 Ø1.0mm、Ø0.7mm、Ø0.5mm、Ø0.3mm、Ø0.2mm を使用しています。